食道胃外科

診療・各部門

担当医師紹介 食道癌の手術のコーナー

トピックス

 食道癌手術入院のクリニカルパスを導入しました。手術機器が更新され、術中ICG胸管造影法を再開しました。
新たに医員を迎えました。

3Dモニターと通常光下ICG蛍光法
3Dモニターと通常光下ICG蛍光法

食道胃外科の診療内容

 平成31年(2019年)4月に食道胃外科診療部が開設されました。
食道手術、胃手術を中心として上部消化管の外科診療を行っています。専門医資格を有する固定スタッフで手術を担当します。初診時より専門のスタッフが診察し、早期に手術できるよう迅速な対応を行います。手術のほか抗がん剤や分子標的治療剤、チェックポイント阻害剤を用いた化学療法も行っています。

当科の食道手術の特徴

 開胸を加えることなく胸腔鏡のみで食道を切除します。腹部操作では腹腔鏡の小さな傷で手術を行います。このため患者さんは回復が早く、大変お元気です。再建法などにも工夫を加えて、合併症が起こらないようにしています。
「食道癌の手術のコーナー」もご覧ください。

当科の胃手術の特徴

 幽門側胃切除や胃全摘といった標準的な手術に加え、少しでも胃を残して機能を温存する手術(幽門保存胃切除、噴門側胃切除)を行うようにしています。いずれの術式でも、身体に与える負担が少なくて回復の早い腹腔鏡手術を行っています。腹腔鏡手術と開腹手術は病気の状態を専門医が判断して患者さんと相談の上で術式を決めています。

病院の環境

 当院は心臓、肺、内分泌(糖尿病、高血圧)などすべての専門科を有する総合病院であり、集中治療室も充実して、ほかに重大な病気をお持ちの方も安全に治療ができます。上部消化管の外科では栄養管理が重要ですので、歯科を含めた栄養サポートチームと連携して栄養管理を行います。

患者さんへのメッセージ

 患者さんとご家族には、病状と治療方針を丁寧に説明し、親身に診療を行います。全身状態などにより手術できないケースもありますが、もっともよい選択肢を考えていきます。医療連携室を通じて地域の病院の先生方とも協同して、退院後の生活もサポートしていきます。

診療実績

2019年1月以降

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

食道手術:総数

6(6)

7(4)

4(2)

7(3)

6(4)

食道亜全摘術

5(5)

4(4)

2(2)

3(3)

4(4)

その他

1(1)

3(0)

2(0)

4(0)

2(0)

胃手術:総数

17(11)

20(7)

15(6)

15(10)

13(10)

幽門側胃切除術

11(7)

9(5)

6(1)

10(7)

4(2)

胃全摘術

1(1)

6(0)

4(1)

1(1)

2(1)

噴門側胃切除術

4(2)

3(1)

3(2)

2(1)

2(2)

その他

1(1)

2(1)

2(1)

2(1)

5(5)

()内は鏡視下手術の件数

参考:胸腔鏡、腹腔鏡手術の長所(と短所)

 腹腔鏡、胸腔鏡手術の利点は、「創が小さくて痛みが少ない」、「美容的に優れる」ことだと思われる方が多いと思います。実際にはこれ以外の利点が多数あります。
・痛みが少ないとリハビリなどの術後の回復が早く、肺炎などの合併症の予防になります。
・高性能カメラと高解像度モニターを見ながら手術を行います。微細な血管も拡大して見えるため、出血の少ない丁寧な手術ができます。
・胸やお腹の深い部分は、肉眼では見えづらく手術操作が困難です。カメラを用いることで、これらの部分が容易に観察でき、確実な操作が可能になります。
・お腹や胸が開放されないので,内臓が乾燥しません。水分の蒸発が少なく,血圧などにも影響が少なくなります。また内臓を手を用いて操作しないため,物理的な障害も少なくなります。
 腹腔鏡手術の有用性を確認した大規模な研究の結果報告もなされています。ただし、手の操作よりも鉗子による手術は動作制限が大きいため、手術時間は長くなりますし、癌の進行度や過去の手術の影響などで操作が困難なこともありますので、適応は慎重に決定しております。