麻酔科

診療・各部門

担当医師紹介 診療実績

はじめに

当院は、日本麻酔科学会の認定病院です。日本麻酔科学会指導医、専門医を含む常勤医7名を中心とし、数名の非常勤医との協力体制のもと、年間2,000例以上の麻酔管理を行っています。消化器外科をはじめ、比較的大手術となる心臓血管外科、緊急対応を必要とする産科、その他呼吸器外科、脳神経外科、整形外科、婦人科、泌尿器科、そして耳鼻咽喉科から歯科まで、手術を必要とする全ての科に幅広く対応しています。私たちは、安全な麻酔管理には、高度な麻酔技術はもちろん必要ですが、それだけでは足りないと考えます。当科はチーム医療を担う一員として、外科系各科と手術室看護師、そして、臨床工学技士をはじめとするメディカルスタッフとともに良好なコミュニケーションをとりながら、安全で快適な手術室運営をめざしております。

麻酔とは?そして麻酔科医とは?

手術時の麻酔は手術による痛みや不安、手術により体に起こる有害な反応を取り除くとともに、全身の大切な臓器を保護・管理する目的で行われます。麻酔科医は麻酔薬や他の薬を適宜使用しながら、手術に伴って起こる様々な生体の過剰反応から体を守り、脳・心臓・肺・腎臓・腸管・血液・手足や指先まで全ての部位をあらゆる方法で保護・管理しています。今日では、研究開発が進み、より一層安全な薬・麻酔器具・麻酔装置・全身監視装置を使用できるようになりました。さらに専門の麻酔科医が麻酔をしますので麻酔や手術で患者さんが亡くなるということは殆どなくなりましたが、それでも患者さんの体の状態や手術の種類・方法により絶対に安全とはいえない場合があります。さらに、近年の著しい医療の進歩に伴い、以前は手術が難しいとされた御高齢の患者さんや重篤な合併症をもつ患者さんを麻酔する機会も増えています。しかし、患者さんの安全を守ることに関して、我々麻酔科医は、常に最大限の努力を払い日々の麻酔業務を行っています。

当科の診療方針

・患者さんに負担の少ない安全な麻酔を提供します。
・患者さんが安心して手術に臨めるよう丁寧な術前説明を心がけます。
・術後の傷の痛みにも配慮した麻酔管理を行います。
・最新の薬剤、そして最新の麻酔器材を備えたスタンダードな麻酔環境を提供します。

麻酔方法について

手術の麻酔には大きく分けて全身麻酔と局所麻酔があります。

a)全身麻酔
全身麻酔では全身麻酔薬が中枢神経、主に脳に作用し一時的にその働きを抑え、患者さんは意識が無く、痛みを感じない状態になります。全身麻酔には麻酔ガスを吸い込む方法と静脈に注射する方法がありますので、これらを組み合わせて麻酔をします。

b)局所麻酔
局所麻酔薬を注射して手術が必要な場所の痛み、感覚を無くす麻酔方法です。薬の作用が一定時間たって切れると感覚はだんだん元に戻ります。手術中は意識がある状態ですが、手術の内容、患者さんの状態、また患者さんのご希望により鎮静薬を使用し眠ることもできます。

1) 局所浸潤麻酔
局所麻酔薬を注射した場所の痛みをとる方法です。
2) 末梢神経ブロック
特定の神経や、ある程度神経の集まっている場所に局所麻酔薬を注射して痛みをとる方法です。近年は、超音波装置(エコー)のガイドのもと、より安全、確実な神経ブロックが普及してきています。当院でも、患者さんの全身状態や内服薬の内容により、硬膜外麻酔(下記参照)を施行できない時など、適宜エコーガイド下の末梢神経ブロックを全身麻酔にあわせて行っております。
3) ①脊髄くも膜下麻酔(腰椎麻酔)
腰から脊髄液が満たされている場所に局所麻酔薬を注入して脊髄を麻痺させます。主に下半身のみの手術時に行われます。
②硬膜外麻酔
脊髄を包んでいる膜のひとつである硬膜の外側に局所麻酔薬を注入し、痛みと感覚をとる方法です。直径1㎜程度の細い管を硬膜の外側(硬膜外腔)に入れ、その管から薬を入れます。ほとんどの手術は、手術後、患者さんの痛みの軽減を図る目的で硬膜外麻酔と全身麻酔をあわせて行います。硬膜外麻酔では手術後に痛み止めを持続的に使うことで、痛みを和らげることができます。

痛みの緩和は、手術の方法や患者さんにより個人差がありますが、安静にしていればほとんど痛みを感じない、という患者さんも多くいます。また硬膜外麻酔を行わない場合でも、痛み止め等を使用することにより、痛みを和らげる方法をとっています。脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔を単独で行った場合でも、手術の進行状況や患者さんの状態によって全身麻酔を併用する場合があります。

(各種麻酔方法や麻酔に伴う合併症については、
日本麻酔科学会のHP内、「麻酔を受けられる方へ」http://www.anesth.or.jp/public/anesthesia/ もご参照ください。)

ご家族の皆さまへ

手術室へ入られるとき、ご家族は3階の手術室扉の前まで一緒にお越しいただくことができます。手術中、ご家族は病棟でお待ちいただきますが、一言声をかけていただければ一時的に病棟を離れることもできまずので、気軽に声をおかけ下さい。手術が終了したら主治医により手術の説明があります。連絡を受けたら手術室前までお越し下さい。
手術の予定時間はお知らせしていますが、手術の前後には麻酔をかけたり覚ましたりする時間があります。予定時間よりも長くなる場合もございますが、大幅に延長することがありましたら連絡を致しますのでご安心ください。