間質性肺炎

診療・各部門

 肺の中は空気が出入りしていますが、最終的には肺胞(3億個と言われます)と呼ばれる極小のユニットで酸素の体内への送りこみが行われます。この肺胞の壁の部分を間質と言いますが、この間質に炎症や線維化が進行性に起こる病気が間質性肺炎です。一つの病気ではなく、様々な種類があります。
急に起こるものを急性、ゆっくりと進むものを慢性、と呼びますが、多くの方が苦しまれるのが、慢性に進むタイプです。

1)間質性肺炎の分類

① 原因が特定出来るもの:


 普段服用している薬へのアレルギーでおこる薬剤性肺炎、職業・環境と関連するもの:過敏性肺炎(羽毛製品、空調や加湿器内のカビなどに対するアレルギー反応で起こる、最近非常に多くなってきています)、リウマチ、膠原病などの全身性疾患に付随して発症するもの,などがあります。

②原因が不明なもの:特発性間質性肺炎


 この中には 特発性肺線維症、特発性非特異性間質性肺炎、急性間質性肺炎など9疾患が含まれます。この中では特発性肺線維症が一番多く、それ以外は比較的希なものです。
 最近は我が国で特に多く見られる病気としてPPFEという病気が増えて来ました(別項で詳しく説明)。このように多種、多様な疾患がありますが、本当に原因がわからないものは最近減少傾向にあり、あれこれ調べると原因が浮かび上がってくるものの比率が増えてきています。

2)間質性肺炎の症状

 症状がなく、健診で偶然発見されるものもありますが、進行してくると、階段などでの息切れが始まります。この段階で気付かれる人も少なくありません。咳もよくありますが、ない人もがあります。徐々に肺の線維化が進行しますが,進行は、月の単位で進む方もありますが、数年にわたってほとんど代わらない方まで、様々です。

3)間質性肺炎の診断

 胸のレントゲンやCTで両肺に広がる網目状の影があったら疑いますが、上に述べたように多種多様な疾患がありますので、じっくり鑑別作業を進めてゆきます。問診や肺機能検査、気管支鏡検査などです。当院では、肺の組織を採取する胸腔鏡下肺生検は、診断がつかない場合、治療方針が決め難いときに限定して行っています。

4)間質性肺炎の治療

 原因がわかった場合は、それがお住まいや職場の環境の中にあると考えられる場合はその原因を遠ざける、膠原病などの全身の病気に伴うものであればその大元の病気を治療する、ことで進行をストップさせる、あるいは遅らせることが可能です。
息切れや咳が月の単位で進んできた方には、身体の過剰な免疫→炎症の関わりが考えられ、短期間のステロイドなどが効果を発揮する事もあります。ステロイドは長期使用すると副作用の問題があり、当院では使用を抑えています。長期的に見て線維化が進んでゆく場合は線維化を抑える薬剤(抗線維化薬)を使用することもあります。

5)間質性肺炎への当院の取り組み

 従来、間質性肺炎の中では特発性肺線維症が中心と考えられてきましたが、当院では早くから過敏性肺炎の可能性に注目、この分野の研究でわが国をリードしている東京医科歯科大学の呼吸器内科と情報交換しつつ、取り組んで来ました。当科の徳田医師と東京医科歯科大学の宮崎教授との対談が日経メディカルに掲載されています。その方の病気が,慎重な診断の結果,過敏性肺炎、あるいはその可能性が高い場合は、別に詳しく述べますが、進行を抑える、あるいは病状が一部改善する可能性は充分あります。

更新日:2024/04/30