診療・各部門
♦ 内視鏡センターについて
当院内視鏡センターでは消化器内科、外科、大腸肛門外科の医師により消化器内視鏡、呼吸器内科、呼吸器外科の医師により気管支鏡を診療科の垣根を越えて行っています。当センターは病院の4階にあり、4室の検査室と治療内視鏡室、透視室、6台のリカバリーベッドを備えています。
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
上部 | 4876 | 4437 | 4513 | 2726 | 4073 | 4645 | 5105 |
下部 | 5516 | 5014 | 4722 | 4470 | 4545 | 4662 | 4565 |
カプセル内視鏡 | 18 | 45 | 11 | 43 | 46 | 84 | 69 |
気管支鏡 | 185 | 196 | 121 | 123 | 120 | 82 | 97 |
♦ 消化器内視鏡
● 上下部消化管内視鏡
午前は主に上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を行っています。苦痛の少ない内視鏡検査のために施行医が技術向上に努力することはもちろんですが、経鼻内視鏡、鎮静下内視鏡も積極的に行っています。異常所見が見られた場合には生検(組織検査)を行い検体を病理に提出して確定診断に役立てます。
午後は下部消化管内視鏡(大腸内視鏡)が中心で基本的に鎮痛剤を使用して行っています。ポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection;EMR)などのポリープに対する治療は外来で行っています。ポリペクミー、EMRはいずれもポリープに「スネア」という金属の輪を掛けて締め切除する治療で、比較的短時間で切除することが可能です。ただし大きなポリープの場合には2泊3日程度の入院が必要です。
上下部内視鏡では小さな病変の早期発見のためのルーチンの内視鏡検査に加えて、狭帯域光観察(Narrow Band
Imaging;NBI)、拡大内視鏡などの精査も行っています。
● 消化管の早期癌に対する内視鏡治療;ESD
消化管の早期癌に対する内視鏡治療として,内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection;ESD)
を行っています。ESDというのは病変の基部及び周囲に薬液を注入し十分に浮き上げて、周囲を切開し、粘膜下層を剥離する治療です。病変の進行具合や部位にもよりますが、ESDにより全身麻酔での外科的手術を行わずに癌の治療ができます。この治療を行うには約1週間の入院が必要です。当院では胃癌、食道癌、大腸癌に対応可能です。
● 胆膵疾患、消化管狭窄等に対する内視鏡治療
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography;ERCP),シングルバルーン小腸内視鏡(single-balloon enteroscopy;SBE)、消化管バルーン拡張術、消化管ステント留置等の透視下内視鏡は月・火・木曜日午後に行っています。
ERCPでは細胞診などによる診断や、閉塞性黄疸に対する減黄術として経鼻胆道ドレナージ(Endoscopic nasobiliarydrainage;ENBD),ステント留置(金属またはプラスチック)を行っています。乳頭括約筋切開術(Endoscopicsphincterotomy;EST),乳頭バルーン拡張術(Endoscopicpapillary balloon dilatation;EPBD)などによる総胆管結石の治療も積極的に行っています。
当院はクローン病をはじめとした小腸疾患が多く、カプセル内視鏡とSBEの組み合わせにより積極的に診断、治療に繰り組んでいます。炎症性腸疾患や術後吻合部狭窄等の良性疾患の消化管狭窄に対しては消化管バルーン拡張術を行っています。バルーン拡張は狭窄部位で拡張用バルーンを膨らませ、内側から拡張する治療です。
悪性腫瘍による消化管狭窄に対しては手術前の減圧あるいは緩和目的でステント留置を行っています。ステントの改良により屈曲部位にも留置が可能となってきています。大腸癌による腸閉塞に対しては緊急でのステント留置が可能です。
食道静脈瘤に対する内視鏡的静脈瘤結紮術(Endoscopic variceal ligation;EVL)や、胃・十二指腸潰瘍や大腸憩室等からの出血に対する止血術、義歯や薬のPTPシート等の異物除去などの緊急内視鏡にも適宜対応しています。
● 胃瘻造設
嚥下障害などのため経口摂取が困難になった患者さんに対する胃瘻造設も行っています。胃瘻は腹壁から胃へチューブを入れて直接栄養剤を注入する方法です。入院しての治療が必要で、内視鏡で観察しながら造設を行います。
♦ 気管支鏡
肺や機関誌を調べるための内視鏡検査で、1泊2日 / 2泊3日の入院で実施しています。直径 4~6 ㎜の内視鏡を用いて、気管支を通じて病変から細胞や組織を採取します。また近年開発された先端に超音波プローブが装着された内視鏡により、気管支周囲のリンパ節や腫瘍性病変に対しても検査が可能になりました。
検査中の苦痛を最小限にできるよう、局所麻酔薬・鎮痛薬・鎮静薬を使用しています。検査中は内視鏡が声門を通過するため話すことが出来なくなりますが、良好な麻酔が得られればハンドサインによって検査者との意思疎通が可能です。
採取した検体から病理解析を行い、肺癌や間質性肺疾患の診断に役立てます。