気管支拡張症

診療・各部門

 気管支拡張症は,一時減少しあまり注目されなくなった病気ですが,近年一転して増加の一途を辿っています。かつては、結核や重い肺炎の後遺症が多かったのですが、現在は原因がはっきりしない特発性気管支拡張症が半分以上を占めます。症状としては,頑固な咳,痰に苦しむ,あるいは繰り返す肺炎に悩む、また一部ですが、だんだんと肺の機能が低下し呼吸機能が低下して行く,など、様々です。一方、咳、痰はあるもののほとんど進行しない人もいます。

1)気管支拡張症の診断

 診断は比較的容易です。CTで気管支の拡張は把握でき、それに加えて痰の検査、肺機能検査などで全体像がつかめます。

2)気管支拡張症の治療

 近年欧州を中心とした研究で、この病気は外から菌が入ってきて起こる病気ではなく、気管支に定着する細菌があり、それに対する過剰な免疫反応のために起こる、と考えられています。従って治療は,菌を抑えるだけでは不十分で,気管支での強すぎる免疫反応を適切にコントロールしてゆくことが重要となります。

 しかしこの病気のことを真剣に考え取り組んでいる施設は国内ではごく僅かで,つらい症状を訴えても,大した病気ではない,あるいは治療法がない,として治療して貰えない方が多いようです。

 徳田医師は、わが国では最も早くからこの問題を研究し、総説も書いてます(呼吸臨床)。

またこの主題に取り組んでいる慶応大学の医師とも対談するなど(日経メディカル)、治療の考え方の普及に努めています。

 当院では、欧州の最近の研究成果を取り入れ、そこに独自の工夫を加えて、診療に当たっています。軽い場合は外来での抗菌薬(内服)のみでおさまることもありますが,症状が重い場合,入院して頂いた上で,先ず点滴治療によって重い症状を鎮め,その後外来で,その良好な状態を維持する治療を,一人一人の病状に合わせて工夫します。未だ全ての人に当てはまる一般的な治療法が確立できていないのが現状ですが,およそ2/3の方に,当院で治療を受けてある程度~非常に症状が楽になったと喜んで頂けています。肺炎を繰り返していた方も、工夫により、その頻度を大きく減らす事が出来ています。

更新日:2024/04/30