消化器内科(肝臓)

診療・各部門

担当医師紹介 外来診療担当表 診療実績 登録医一覧

当院は地域医療機関との連携を図る、紹介制を原則としております。
このため初診の場合、緊急の場合を除き、「かかりつけ医」など地域の医療機関からの紹介状をご持参下さい。
紹介状は必ずしも専門医からの文書でなくてもかまいません。

※紹介状持参の方は、初診、再診すべて総合医療相談センター(8番窓口)へ。

消化器内科(肝臓)のご案内

消化器内科(肝臓)はウイルス性・自己免疫性・代謝性肝疾患から肝細胞癌の診断・治療など肝疾患全般にわたる領域を引き受けています。

1.ウイルス性肝炎

ウイルス性肝炎を治療する最終目標は肝発癌の予防ですが、近年のB型・C型ウイルス性肝炎に対する治療薬の進歩はめざましく、肝臓専門医が果たす役割は非常に重要なものとなっています。
・ B型肝炎
肝機能異常が持続し、治療が必要な慢性肝炎期の患者さんに対しては5種類の核酸アナログ製剤(ゼフィックス®、ヘプセラ®、バラクルード®、テノゼット®、ベムリディ®)を単独あるいは組み合わせることにより、現在80例以上の患者さんに対して治療を継続し、肝炎の沈静化を維持しています。また他の80例の患者さんは肝機能正常な無症候性キャリアで経過観察のみですが、このような患者に対しても定期的な採血・画像検査にてフォローしています。
・C型肝炎
 C型慢性肝炎に対する治療は2014年に大きな転換期を迎え、注射剤であるインターフェロン(IFN)中心の治療からIFNを使用せずに経口の直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の組み合わせのみで根治しうる時代となっています。当科ではダクルインザ®+スンベプラ®、ハーボニー®、ヴィキラックス®、エレルサ®+グラジナ®、ソバルディ®+レベトール®、マヴィレット®、エプクルーサ®など数あるDAAの各々の特色と、個々の症例の臨床背景を考慮しながらこれまでに215例の患者さんにDAA治療を導入し、 再治療例を含めると評価可能な症例での著効率はほぼ100%と良好な成績をとなっています。

2.非ウイルス性肝疾患

肝炎ウイルスマーカー陰性の肝障害のなかには自己免疫性肝炎(AIH)や原発性胆汁性胆管炎(PBC)などの自己免疫異常が関与した肝疾患や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)といった代謝性肝疾患が隠れていることがあります。これらは肝生検が必要な疾患群ですが、当科ではこのような疾患が疑われた場合には積極的に肝生検をおこない、組織学的に病勢を評価したうえで最適な治療を導入するように心掛け、実際に治療に結びつけています。これらの疾患群は比較的まれですが、当科ではAIH 39例、PBC 78例、NASH 27例が現在通院し治療を継続しています。

3.肝細胞癌

肝細胞癌(HCC)に対しては、個々の症例の背景肝、臨床病期を念頭に置いて手術療法、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、早期からの分子標的薬(ネクサバール®、レンビマ®)の導入などを選択し予後の改善に結びつくように努めています。また、切除不能の肝細胞癌に対する新たな治療戦略として2020年に免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブとベバシズマブの併用療法が保険適用となり、現在一部の症例に導入しているところです。

4.その他の疾患

頻度的には少ないものの食道静脈瘤に対する静脈瘤結紮治療(EVL)、重症な急性胆嚢炎に対する胆嚢ドレナージ(PTGBD)、閉塞性黄疸に対する胆管ドレナージ(PTCD)、肝膿瘍に対する膿瘍ドレナージ(PTAD)などにも適宜対応しています。また、自己免疫性膵炎(AIP)を代表とするIgG4関連硬化性疾患の診断・治療も得意分野の一つです。