特 色
当院小児科は、完全看護の小児入院病床を持つ総合病院である。診療内容は、病児を診る一般外来、血液・アレルギー・内分泌・神経・臨床遺伝等の専門外来および新生児医療を含む病棟診療に加え、健常児を対象とした、乳幼児健診や予防接種を行っており、幅広い領域を担当している。
診療・研修体制
研修医は、入院児を受け持ち、その診断・治療計画を作成する。また指導医と共に新生児回診・乳幼児健診・予防接種・一般外来診療を経験する。研修後半には救急患者の初期診療にあたる。
目標
短期研修であるため、以下の項目を修得することを目標とする。
[1] 小児診断学のプロセスを身につける
小児科は総合診療であり、すべての疾患を視野にいれた診断プロセスが重要である。検査に頼ることなく、問診・理学所見をとり問題点をまとめて鑑別判断を考えるという総合的な診断プロセスを学ぶことを第1の目標とする。小児科では急性の感染症が多く、発熱・発疹・咳・腹痛といったありふれた主訴をもとに、病棟・外来診療の中で小児の所見をとる能力を身につける。
[2] 診断なくして治療を行うことの危うさを知る
主訴即投薬という、[1]の診断プロセスを欠いた治療は、症状を隠蔽し、時に重大な結果をもたらす。診断の見当がつかないうちは対症療法を行わないのが原則である。小児に対する適切な治療の範囲を知る。
[3] 以下の小児科の特性を理解する
・子供は病気をするものである。
-軽症のウイルス感染を経験することは免疫発達上必要であり、過剰な治療をしない。
・子供は成長、発達している。
-正常児の成長、発達を学び、その中で見逃してはならない異常を知る。
・正常な子供の子育てをサポートすることが小児科プライマリ・ケアでは重要である。
-健診・予防接種・育児相談の重要性を知る。
[4] 特に注意が必要な疾患や治療法を知る
髄膜炎・脳炎・ヘルニア・腸重債・虫垂炎など、鑑別診断上特に注意の必要な疾患を知る。小児では禁忌となる薬剤もあり、成人領域の治療法が適応できるとは限らない。