一般研修目標
呼吸器内科は今もっともめまぐるしく動いている分野の一つである。疾患の種類が多く、診断、治療方法もそれぞれに異なり、専門医でさえも全ての領域において最新の水準を追うのは容易ではない。
一般臨床医に求められるのは、
1)肺炎、喘息などcommon diseaseの治療の最新の考え方
2)各疾患を疑った時の検査の流れ、組み立て
3)軽く考えて良い病態と、重い事態の可能性があり専門医にコンサルトすべき病態の見極め、を習得することであろう。
また4)胸部単純写真の読影は将来どの分野に進むにせよ必須の技術である。
~経験すべき疾患~
・呼吸器感染症(市中肺炎、医療・介護関連肺炎、院内肺炎)
・気管支喘息
・呼吸不全
・アレルギー性肺臓炎(薬剤、環境)
・胸膜疾患(自然気胸、胸膜炎)
・肺癌
・間質性肺炎
診療・研修体制
スタッフは部長1名、医長1名、医員1名、シニアレジデント1名、常勤顧問1名である。研修医は病棟勤務では常に8~10人の患者を受け持ち、基礎的な診療技術と知識を指導医の下で修得する。カンファレンスは週2回、うち1回は呼吸器外科、放射線科と合同で行われる。その他随時、指導医と打合せが行われる。
主要疾患と修得目標
[1]呼吸器感染症は、病原体の見極めとそれに即応した抗菌薬の選択、また重症の場合全身的管理が要求される。この分野も最近の進歩は著しい。当院は微生物検査室との協働が極めてよく、通常の各種病原体をはじめ、レジオネラ、真菌、ニューモシスチスなど生命を脅かす病原体についても迅速に情報が得られ、対応できる。いわば活きた感染症学を体験、修得できる。これは当院の特長として特筆大書したい。
[2]様々な呼吸器疾患が重篤化し呼吸不全になる。酸素投与、薬物的治療、そして重症の場合NPPV(非侵襲的陽圧呼吸) or気管内挿入による人工呼吸治療が行われる。その各段階を経験することが望ましく、特に人工呼吸治療は全身管理であり、内科医として最高度の技術と努力が要求される。この治療を成功に導くコツを修得して貰いたい。
[3]居住環境、薬剤などによるアレルギー性呼吸疾患は近年増加しており、感染症と鑑別しつつ適切な対応が要求される。 診断にもっとも大切なのは詳細な病歴の聴取であり、すなわち最も内科的な醍醐味に満ちたものであり、是非経験していただきたい。
[4]胸膜炎における胸腔穿刺・排液、ドレナージは、指導医の監督の下、実技を修得していただく。
[5]肺癌は頻度も高く重要の呼吸器疾患の一つであるが、診断、治療のプロセス、化学療法、放射線療法の実際とその医学的、精神的サポート、末期の苦痛の除去などを指導医と共に経験して頂く。
[6]胸部単純写真の読み方については日常の指導の他、夏期に特別のクルズスを設けている。