東京山手メディカルセンター 産婦人科

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当院では、「要として」の役割は、地域医療を進めるために関わる
医療機関、介護福祉施設、行政などが連携をとるなかで、
その推進力となることを目指しています。



副院長/部長 小林浩一 インタビュー
脳外科医か産婦人科か
産婦人科医になったきっかけは、もともと学生時代に親友が大学で特別支援教育を学んでいたことがきっかけでした。彼は脳性麻痺の子供達に対しての教育支援活動をしていました。
ある日彼の大学の文化祭に遊びに行く機会があったんです。その時に脳性麻痺の障害を持った当の本人達と出会いました。彼らと出会ったことがきっかけで「脳のことを何とかしたい、医学部に入って将来は脳外科医になろう」と考えました。
脳外科医になるために脳の事を色々勉強していると、先天性の脳障害とお産に深い関係があることがわかったのです。
その時自分の選択肢として脳外科医の他に産婦人科医が生まれました。
どちらか迷っていたんですが、決断したのは私の父の影響が大きかったかもしれません。父は外科医しか認めない、というような人だったんです。だからあえて産婦人科医になってやろうと思いましたね(笑)
産婦人科医としての横断的な仕事を実現する超音波
当院の特徴の1つとして超音波がありますが、私にとってはライフワークみたいなものです。産婦人科医になると、一般的には「産科」「婦人科」「更年期」「不妊」の4つの領域からいずれかを専門にしていくのですが、
正直どれかに絞るという選択をしたくありませんでした。
超音波はツールなので、領域を横断的にできることが魅力です。
それぞれの領域で必要な超音波を使ってそれぞれの分野で仕事がしたかった思いから取り組んでいます。
我々は落語ができる大工さん
最近はインフォームドコンセントをしっかりやっていくことが大事だと考えています。インフォームドコンセントは、ある病気があり、なぜ手術が必要か、手術をするとこんな良いことがあるけどこんな悪いことが起こるかもしれません。だけど我々を信じて手術を受けますよね?というある程度決まった話の流れがあります。医師は専門知識があるだけに専門の話から説明してしまいがちです。一般の方からするとはわからない話を理解しないまま進んでしまうことが多いのです。だからこそ我々は、誰もが理解できる、わかりやすい話をすることを心がけています。
若手の医師には「我々は落語ができる大工さん」という表現を使って教えています。
大工さんのような職人としての腕だけでなく、落語家さんのように良い話ができることがこれからは重要だと考えています。また、当院は新宿区百人町という土地柄、外国人の方も少なくありません。外国の方々にも理解してもらえるように文化の違いなどを考慮しながら、皆が産婦人科の必要性を患者さんに理解してもらう努力をしています。

保健指導・ビュッフェ・母乳外来・超音波
保健指導については、助産師達が非常に真面目で熱心な人たちばかりなので、活躍の場を提供したかったんです。
決して医師が上の立場というわけでなく、分娩や子育ての最初の時期を円滑にするために医師と助産師が協力して積極的に取り組んでいます。ビュッフェは5年ほどやっています。当時は、ごく普通の分娩場所だったのですが、栄養課長の提案などで昼食を見た目の華やかなビュッフェ方式にしたことで副次的にお母さん同士のコミュニケーションが始まりました。今では週に2回、お母さん同士の交流の場として提供しています。母乳外来についても助産師達がメインで活躍をしています。 母乳で育てたい人のためにしっかりとした指導・サポートを行いたい、という想いから積極的に取り組んでいます。
また母乳で育てることの重要性、例えば初乳と言われる母乳には免疫が入っているので非常に大事といった考え方も伝えていますね。

超音波は、胎児スクリーニングという赤ちゃんに異常がないか、何の異常なのかを検知しています。特に心臓と肺、染色体関連、に異常があると非常に大きな事態に発展するため注意して見ています。
加えてお母さんの乳腺と深部静脈血栓を見ています
妊娠中はお乳が張るので検診に向いていないこともあるのですが、超音波で乳腺を見て異常がないかチェックしています。
またエコノミークラス症候群もお母さんの命に関わるので併せてチェックしています。

メタボ予備軍の胎児が増えている?
近年、出産時の胎児体重が減っているという問題が起こっています。以前は3,200〜3,300gあった体重がいまでは3,000gを切ろうとしています。
日本人女性ならではの痩せ願望からきてのかもしれませんが、お母さんがエネルギーを取らないと子供は育ちません。
胎内での赤ちゃんはお母さんの栄養状態をみて外の状態をモニタリングしている、といったDOHaDという概念があります。
お母さんがひもじい生活をしていると、赤ちゃんも外の世界はひもじいと感じることで低燃費型の子供が生まれてしまいます。
しかし、実際外の世界はひもじくないので、低燃費型の子供に沢山エネルギーをあげてしまうので結果メタボになってしまうといったケースがあります。
そういったこともあり、これまで妊娠中は太らないようにする、という指導を行なっていたのですが、
過剰に「太ってはダメ」といった指導でなく、妊婦さん個人に合った指導を心がけています。
妊娠から子育てまでを皆が自然にできるように支援したい
今後の方針としては、これまで主観でやってきたことに客観性を持たせたい、と考えています。
当産婦人科では、お産の時の様子をエコーに録っています。
例えば子宮の出口が開いてきました、赤ちゃんの頭が下がってきました、というものはこれまで唯一我々の手で探り探り調べるしか術がないのですが、エコーを使うことで赤ちゃんの頭がどこまで下がっていてどういう方向を向いている、といった情報が分かります。そうすることでより、客観性をもった見方ができます。そういった取り組みを進めながら、皆が安心して妊娠から子育てまでを自然にできるように今後も支援していければと思っています。