研修医体験記
■体験記-1
【平成22年度採用(愛知医科大学卒)―初期研修を終えるにあたって―】
■体験記-2
【平成22年度採用(東京医科大学卒)―2年間の初期研修を終えて―】
■体験記-3
【平成21年度採用(東京大学卒)―後期研修について―】
体験記-1
【平成22年度採用(愛知医科大学卒)―初期研修を終えるにあたって―】
皆さんこんにちは。このページを見ておられるということは、社保中での初期研修を少しでも考えているということでしょう。当院での研修2年間を通じての感想を率直にお伝えできればと思います。
【当院初期研修の利点】
1-スタッフ間の垣根が低い
社保中の最大の特徴を挙げろと言われれば…「スタッフ間の垣根が低い」これに尽きると思います。これは診療科間でもそうですし、職種間(医師-コ・メディカル間)でもそうです。医局が1つしかないため、研修医もその他の医師も同じ部屋におり、医師間に「同じ釜の飯を食べた」様な雰囲気が出来上がります。ですので、おのずと科の垣根が低くなり、他科へのコンサルテーションが極めてスムーズです。
また、研修医の数も1学年6名と少ないため、院長をはじめ皆が顔を知っています。疲れていたりすると突然、副院長やローテートしていない部長の先生方など色々と気遣っていただいた事も多く、温かい家庭的な環境で研修したい方には本当にお勧めです。
コ・メディカルも極めて優秀な方が多く、またとても親切ですので、病棟や検査のことで頭を抱えるということも少ないと思います。
2- 大学と市中病院の「いいとこどり」の研修ができる
一般的に市中病院での初期研修は、「臨床能力は磨けるが、アカデミックさに欠ける」というような声も聞きます。社保中はもちろん市中病院ですが、肛門疾患や炎症性腸疾患など全国的から患者さんが集まる専門病院としての顔も持っています。ですので、common diseaseは多く経験できますが、非常に珍しい病態の患者さんの診療も多く経験できます。そのような症例は学会、または論文という形で発表する機会を与えられます。研修医間で多少の数のばらつきはありますが、当院では研修医全員が必ず学会での発表を経験します。
3- 内科研修が14か月と長い
内科研修が他院と比べて非常に長いです。実際、他院にありがちな1か月程度の研修では重症患者さんの受け持ちもできないため「上級医に言われた処方を出す」ことが仕事となり、何も身につかず研修が終了することが多いようです。しかし、当院は1つの内科を3-4か月研修するため、軽症患者はもちろんのこと、他科領域にもまたがるような重症患者の受け持ちとなることも多いです。当院ではICUも専任の医師がいないため、ICU入室後も人工呼吸器管理や厳密な血圧のコントロールなど、指導医の監督の下、研修医が中心となって治療のプランの立案・実行に関わります。重症患者さんを抱えると非常に大変ですが、患者さんのICU退室や退院になった時の喜びは大きく、また様々なことを勉強できます。
指導医も“脂の乗り切った”中堅どころの医師が当たり、基本的にマンツーマン指導です。臨床能力抜群の先生方から直接色々なことを教えていただけます。これは逆に屋根瓦式では難しく、当院のように研修医数を絞っているからこそできることです。
4-手技も豊富
当院は市中病院ですので、様々な手技を豊富に経験することができます。例えば、中心静脈路確保、気管挿管、胸腔穿刺、腹腔穿刺、骨髄穿刺、ルンバール、気管支鏡…などです。
炎症性腸疾患の患者さんが多い病院ですので、中心静脈路確保の件数は特に多く、私の例ですが、2年間で80-90例以上経験しました(多い時には1週間で10例経験したこともあります)。ルンバールも腰椎麻酔・診断目的のルンバール合わせて50例以上経験しました。
これだけ初期研修医に手技をやらせていただける病院は23区内にそう多くはないと思います。これも指導医が、研修医の手技がうまくいかなかったときのフォローを確実にできるだけの高い臨床能力を有しているからできるのだと私は思っています。
5- 内科研修では常に「総合診療科」的な診療を経験できる
当院には総合診療科はありませんが、消化器内科や呼吸器内科などの専門内科を回っていても、蜂窩織炎や尿路感染症、不明熱など専門内科に分類できないような患者さんは受け持ち数の少ない研修医が担当となります。ですので、専門内科を回りながらも、common diseaseを常に勉強することができます。また、救急の専任医がおらず、当直や救急当番日などは専門内科に関わらず幅広い疾患の初期対応に研修医と指導医が当たることになります。なお、循環器内科研修中はICU当直、産婦人科当直中は産婦人科当直を行いますが、それ以外の期間は基本的に内科当直を行います。
6-雑用は最小限で医師の仕事に集中できる
雑用はゼロとは言いませんが、最小限クラスだと思います。(雑用がゼロの病院はきっとないと思います。無いと言い張っている病院こそ怪しいかもしれませんよ)内科研修中は、CVやトロッカーを入れている患者さんの消毒の当番が週2回ほど回ってきますが、長くても30分ほどで終わります。患者さんの搬送や(化学療法や輸血以外の)ルートキープや採血などは看護師さんにやって頂けるため、患者さんの診察をして病態を把握し、治療プランを立て実行するという医師本来の業務に集中できます。ですので、勉強する時間・プライベートな時間もある程度確保することができます。
【当院初期研修の欠点】
逆に当院の研修のデメリットも書いておこうと思います。
1-外傷の経験が少ない
当院には救急専任の医師が不在であることと、周囲に救急病院が多いこともあり、外科救急の患者さんを診察する機会は多いとは言えませんでした。特に外科系を考えている方にとっては残念と言わざるを得ません。しかし、この欠点をクリアすべく、希望者は地域医療の枠で外傷を扱っている病院に行けないか検討していただいています。
2-神経内科・膠原病内科の常勤医が不在
中規模市中病院なので仕方のないことかもしれませんが、神経内科と膠原病内科は常勤医がいないため、変性疾患や膠原病を診る機会は限られてきます。
ただし、当院には脳神経外科の常勤医がおり、脳梗塞急性期の血栓溶解療法など神経の急性期疾患を経験できます(脳神経外科を選択で回るという条件はありますが)。
膠原病に関しては、当院の呼吸器内科が東京女子医大リウマチ・膠原病センターと提携しているため、膠原病肺などの患者さんを診る機会も多く、経験がゼロになるということは無いと思います。
3-外科系ローテート期間が短い
内科研修が長い分、外科系のローテート期間は当然短いです。特に内科希望以外の方にとっては物足りない可能性もあります。初期研修の2年間から外科系をバリバリやりたいという方は他の病院で研修された方が良いかもしれません。しかし、初期研修の2年間をどの診療科に進むにしろ基本である内科をしっかりやることで「診療スキルの基礎を作る時期」と考える内科希望以外の方にとっては当院の研修がぴったりだと思います。
4-寮が狭い
研修医は基本的に当院の寮に入って頂くのが基本のようです(既婚者などはその限りではありません)。寮は病院の隣にある看護学校の5階です。ワンルームマンションタイプで、キッチン・ユニットバスが各部屋についていますのでプライバシーは問題無いと思います。家賃は1ヵ月2万円です。新大久保に月2万円で住めるのですからあまり文句は言えませんが、正直狭いと感じました。寮に対する要望は毎年研修医から上がっており、昨年、ありがたいことに、IHクッキングヒーターの設置やシャワー・ベッドの交換など行って頂きました。寮に関しては、更なる改善を望まれる点だと思います。
いかがでしょうか。ここに書かれていることが本当か嘘かは、見学に来ていただければ解ります。ぜひ見学にいらしてください。見学は、内科希望の方であれば内科のみで結構ですが、外科系・マイナー系希望の方は、希望科と初期研修の中心である内科の両方を見学されることをお勧めします。内科の見学では、午前中に研修医か研修医の指導医について頂き、実際の診療の流れをみてもらいます。昼は当院の職員食堂で午前中の先生と一緒にご飯を食べて(無料です)、午後は初期研修医とのトークの時間になります。トークでは研修医と直に話ができるので、研修の実際や給与、プライベート、採用試験のこと…など何でも聞いてください。当院では、見学の段階で採点などしていませんので、気軽な気持ちで見学にいらしてください。
【平成22年度採用(愛知医科大学卒)―初期研修を終えるにあたって―】
■体験記-2
【平成22年度採用(東京医科大学卒)―2年間の初期研修を終えて―】
■体験記-3
【平成21年度採用(東京大学卒)―後期研修について―】
体験記-1
【平成22年度採用(愛知医科大学卒)―初期研修を終えるにあたって―】
皆さんこんにちは。このページを見ておられるということは、社保中での初期研修を少しでも考えているということでしょう。当院での研修2年間を通じての感想を率直にお伝えできればと思います。
【当院初期研修の利点】
1-スタッフ間の垣根が低い
社保中の最大の特徴を挙げろと言われれば…「スタッフ間の垣根が低い」これに尽きると思います。これは診療科間でもそうですし、職種間(医師-コ・メディカル間)でもそうです。医局が1つしかないため、研修医もその他の医師も同じ部屋におり、医師間に「同じ釜の飯を食べた」様な雰囲気が出来上がります。ですので、おのずと科の垣根が低くなり、他科へのコンサルテーションが極めてスムーズです。
また、研修医の数も1学年6名と少ないため、院長をはじめ皆が顔を知っています。疲れていたりすると突然、副院長やローテートしていない部長の先生方など色々と気遣っていただいた事も多く、温かい家庭的な環境で研修したい方には本当にお勧めです。
コ・メディカルも極めて優秀な方が多く、またとても親切ですので、病棟や検査のことで頭を抱えるということも少ないと思います。
2- 大学と市中病院の「いいとこどり」の研修ができる
一般的に市中病院での初期研修は、「臨床能力は磨けるが、アカデミックさに欠ける」というような声も聞きます。社保中はもちろん市中病院ですが、肛門疾患や炎症性腸疾患など全国的から患者さんが集まる専門病院としての顔も持っています。ですので、common diseaseは多く経験できますが、非常に珍しい病態の患者さんの診療も多く経験できます。そのような症例は学会、または論文という形で発表する機会を与えられます。研修医間で多少の数のばらつきはありますが、当院では研修医全員が必ず学会での発表を経験します。
3- 内科研修が14か月と長い
内科研修が他院と比べて非常に長いです。実際、他院にありがちな1か月程度の研修では重症患者さんの受け持ちもできないため「上級医に言われた処方を出す」ことが仕事となり、何も身につかず研修が終了することが多いようです。しかし、当院は1つの内科を3-4か月研修するため、軽症患者はもちろんのこと、他科領域にもまたがるような重症患者の受け持ちとなることも多いです。当院ではICUも専任の医師がいないため、ICU入室後も人工呼吸器管理や厳密な血圧のコントロールなど、指導医の監督の下、研修医が中心となって治療のプランの立案・実行に関わります。重症患者さんを抱えると非常に大変ですが、患者さんのICU退室や退院になった時の喜びは大きく、また様々なことを勉強できます。
指導医も“脂の乗り切った”中堅どころの医師が当たり、基本的にマンツーマン指導です。臨床能力抜群の先生方から直接色々なことを教えていただけます。これは逆に屋根瓦式では難しく、当院のように研修医数を絞っているからこそできることです。
4-手技も豊富
当院は市中病院ですので、様々な手技を豊富に経験することができます。例えば、中心静脈路確保、気管挿管、胸腔穿刺、腹腔穿刺、骨髄穿刺、ルンバール、気管支鏡…などです。
炎症性腸疾患の患者さんが多い病院ですので、中心静脈路確保の件数は特に多く、私の例ですが、2年間で80-90例以上経験しました(多い時には1週間で10例経験したこともあります)。ルンバールも腰椎麻酔・診断目的のルンバール合わせて50例以上経験しました。
これだけ初期研修医に手技をやらせていただける病院は23区内にそう多くはないと思います。これも指導医が、研修医の手技がうまくいかなかったときのフォローを確実にできるだけの高い臨床能力を有しているからできるのだと私は思っています。
5- 内科研修では常に「総合診療科」的な診療を経験できる
当院には総合診療科はありませんが、消化器内科や呼吸器内科などの専門内科を回っていても、蜂窩織炎や尿路感染症、不明熱など専門内科に分類できないような患者さんは受け持ち数の少ない研修医が担当となります。ですので、専門内科を回りながらも、common diseaseを常に勉強することができます。また、救急の専任医がおらず、当直や救急当番日などは専門内科に関わらず幅広い疾患の初期対応に研修医と指導医が当たることになります。なお、循環器内科研修中はICU当直、産婦人科当直中は産婦人科当直を行いますが、それ以外の期間は基本的に内科当直を行います。
6-雑用は最小限で医師の仕事に集中できる
雑用はゼロとは言いませんが、最小限クラスだと思います。(雑用がゼロの病院はきっとないと思います。無いと言い張っている病院こそ怪しいかもしれませんよ)内科研修中は、CVやトロッカーを入れている患者さんの消毒の当番が週2回ほど回ってきますが、長くても30分ほどで終わります。患者さんの搬送や(化学療法や輸血以外の)ルートキープや採血などは看護師さんにやって頂けるため、患者さんの診察をして病態を把握し、治療プランを立て実行するという医師本来の業務に集中できます。ですので、勉強する時間・プライベートな時間もある程度確保することができます。
【当院初期研修の欠点】
逆に当院の研修のデメリットも書いておこうと思います。
1-外傷の経験が少ない
当院には救急専任の医師が不在であることと、周囲に救急病院が多いこともあり、外科救急の患者さんを診察する機会は多いとは言えませんでした。特に外科系を考えている方にとっては残念と言わざるを得ません。しかし、この欠点をクリアすべく、希望者は地域医療の枠で外傷を扱っている病院に行けないか検討していただいています。
2-神経内科・膠原病内科の常勤医が不在
中規模市中病院なので仕方のないことかもしれませんが、神経内科と膠原病内科は常勤医がいないため、変性疾患や膠原病を診る機会は限られてきます。
ただし、当院には脳神経外科の常勤医がおり、脳梗塞急性期の血栓溶解療法など神経の急性期疾患を経験できます(脳神経外科を選択で回るという条件はありますが)。
膠原病に関しては、当院の呼吸器内科が東京女子医大リウマチ・膠原病センターと提携しているため、膠原病肺などの患者さんを診る機会も多く、経験がゼロになるということは無いと思います。
3-外科系ローテート期間が短い
内科研修が長い分、外科系のローテート期間は当然短いです。特に内科希望以外の方にとっては物足りない可能性もあります。初期研修の2年間から外科系をバリバリやりたいという方は他の病院で研修された方が良いかもしれません。しかし、初期研修の2年間をどの診療科に進むにしろ基本である内科をしっかりやることで「診療スキルの基礎を作る時期」と考える内科希望以外の方にとっては当院の研修がぴったりだと思います。
4-寮が狭い
研修医は基本的に当院の寮に入って頂くのが基本のようです(既婚者などはその限りではありません)。寮は病院の隣にある看護学校の5階です。ワンルームマンションタイプで、キッチン・ユニットバスが各部屋についていますのでプライバシーは問題無いと思います。家賃は1ヵ月2万円です。新大久保に月2万円で住めるのですからあまり文句は言えませんが、正直狭いと感じました。寮に対する要望は毎年研修医から上がっており、昨年、ありがたいことに、IHクッキングヒーターの設置やシャワー・ベッドの交換など行って頂きました。寮に関しては、更なる改善を望まれる点だと思います。
いかがでしょうか。ここに書かれていることが本当か嘘かは、見学に来ていただければ解ります。ぜひ見学にいらしてください。見学は、内科希望の方であれば内科のみで結構ですが、外科系・マイナー系希望の方は、希望科と初期研修の中心である内科の両方を見学されることをお勧めします。内科の見学では、午前中に研修医か研修医の指導医について頂き、実際の診療の流れをみてもらいます。昼は当院の職員食堂で午前中の先生と一緒にご飯を食べて(無料です)、午後は初期研修医とのトークの時間になります。トークでは研修医と直に話ができるので、研修の実際や給与、プライベート、採用試験のこと…など何でも聞いてください。当院では、見学の段階で採点などしていませんので、気軽な気持ちで見学にいらしてください。